この車両について
【広島電鉄 800形】
広島電鉄800形は1983 年から1997 年にかけ、アルナ工機で14両(801–814)が製造された13.5 m級ボギー単車です。
市内線の将来標準車を見据え、当時の最新技術を惜しみなく盛り込んでいます。
推進装置には三菱電機製の電機子チョッパ制御器を採用し、回生ブレーキを常用できる全電気指令式電磁直通ブレーキと組み合わせることで、省エネ性能と応答性を大幅に高めています。駆動方式は平行カルダン駆動で、台車には騒音・振動を抑制する弾性車輪を履かせ、走行音の低減と乗り心地向上を同時に実現しました。
14両の小所帯でありながら製造時期が長期に渡ったため、同期の連接車3700形/3800形/3900形の進化に伴って車体デザインが微妙に変化しています。
グループ | 車号 | 製造年 | 駆動方式/台車 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
1次車 | 801-802 | 1983年 | 平行カルダン/FS-83 | 700形似の前面。縦2灯ヘッドライトと太帯。 |
2次車 | 803-804 | 1987年 | 平行カルダン/FS-88 | 3800形風のシャープな前面。ライト横並び・細帯化。 |
3次車 | 805-808 | 1990年 | 平行カルダン/FS-88 | 側面が黒サッシに。前面ライト角型化。 |
4次車 | 809-812 | 1992年 | 平行カルダン/FS-88 | 3次車を踏襲しつつ小改良。ワンマンミラーの設置位置が変更。 |
5次車 | 813-814 | 1997年 | 平行カルダン/FS-88 | 3900形に近い前面デザインに変更。 |
製造後の変化
- 方向幕のLED化
登場時は全車幕式でしたが、順次LED表示器に取り換えられています。 - 制御装置のVVVF化
制御装置が電機子チョッパからVVVFに更新されています。これに伴って、屋根上のチョッパ制御向け機器箱が撤去、VVVF向けの小型のフィルタリアクトルが搭載されています。
運用について
千田と江波に配置があり、千田所属車は1・3・5・7号線、江波所属車は6・8号線で主に運用されています。
型式写真
1次車(801・802)
- 801号(2015年8月)
2次車(803・804)
前面デザインが大きく変更。3800形に近いスタイルに。
- 803号(2014年3月)
- 804号(2021年3月)
- 804号(2021年3月)
3次車(805-808)
3800形3802号以降と同様に角目ライト化。
805号
- 805号・VVVF化後(2021年12月)
806号
- 806号・チョッパ時代(2014年7月)
- 806号・VVVF化後(2021年10月)
- 806号・VVVF化後(2025年4月)
807号
- 807号・チョッパ時代(2014年7月)
- 807号・VVVF化後(2021年3月)
- 807号・VVVF化後(2025年4月)
808号
- 808号・チョッパ時代(2014年3月)
- 808号・VVVF化後(2021年3月)
- 808号・VVVF化後(2021年10月)
- 808号・VVVF化後(2021年12月)
4次車(809-812)
ワンマンミラーの設置位置が前面幕横から側面に。これに伴って、前面窓の分割が変更。
- 809号・チョッパ時代(2021年3月)
5次車(813・814)
ライトケースが車体とツライチに。3900形と似た印象となった。
- 813号(2016年3月)
- 813号(2021年1月)
- 813号(2021年10月)
- 813号(2021年3月)
各部資料写真
前面
- 1次車・801号(2015年7月)
側面
- 1次車・チョッパ・801号(2021年1月)
- 3次車・VVVF化後・805号(2021年1月)
屋根
807号(3次車・VVVF化後)
- 807号(2025年4月)
- 807号(2025年4月)
- 807号(2025年4月)
809号(4次車・電機子チョッパ)
- 809号(2015年7月)
- 809号(2015年7月)
- 809号(2015年7月)
813号(5次車・電機子チョッパ)
- 813号(2025年4月)
- 813号(2025年4月)
- 813号(2025年4月)
- 813号(2025年4月)
Zパンタグラフ
- (2015年3月)
- (2015年3月)
参考文献
「新車ガイド2 ニュー軽快電車 広島電鉄800形登場」『鉄道ファン』1984年4月号(通巻276号)、交友社、1984年4月、pp.58-63.
「シリーズ:路面電車を訪ねて20 広島電鉄 Part2」『鉄道ファン』1989年3月号(通巻335号)、交友社、1989年3月、pp.101-110.